8月30日(月)に第5回「Management Impact」が開催されました。今回はマッキンゼー&カンパニーに所属する傍らで、自らの問題意識から(NPO法人)SOKET(Society ×Market)を設立、9月より世界銀行でご活躍される金平直人氏をゲストにお招きし、「日本発・世界の課題に挑戦するNPO法人SOKET」〜志によるイノベーションのマネジメント〜」をテーマにディスカッションしました。
スピーチのトピックは大きく分けて3つありました。
一つめはこれまでの職業経験、大学院での実践的な学習から生まれた問題意識から設定された個人的な3つのテーマについて。二つめは、バングラデシュ現地の大手NGOと共同検討を行っている太陽光発電と電気自動車を潅漑に応用する「潅漑プロジェクト」について。三つめは、左記のようなプロジェクトを日本から次々と生み出していくための仕組みとして設立したNPO法人SOKETについてです。
スピーチ前の簡易アンケート結果によると、参加者の興味は、イノベーションについて、途上国ビジネス、NPOとバランスよく分散していました。ディスカッションでは、通常の営利企業とはかなり異なる要素でマネージされている、SOKETというNPOおよび潅漑プロジェクトの運営における競合やステークホルダーの捉え方についての論点や、政府や多様な立場のパートナーとの連携に基づく事業特有の問題、日本企業の今後の発展途上国での競争力についてなどを中心に行われました。
SOKETについては、ホームページにて知ることが出来るので、個人的な感想を少し。
業種にもよりますが、今後の世界と日本の人口動態を考えれば、海外に進出しないという選択肢は、自ら成長の可能性を捨てることになります。そして成長の可能性を実現させるための海外とは、BRICS, VISTA,NEXT11という言葉に代表されるように、新興国、発展途上国を指すことが多いです。でもNEXT11に入っているナイジェリアなんて人口の59%が年間所得水準500ドル以下、1000ドル以下を含めると90%の国です。経済が発展途上なのは、国の政治や開発が途上なのともほぼ道義で、それら国政や社会インフラといった外部環境が企業の戦略の自由度に大きく影響を与えます。でも多くの可能性を秘めているからこそ、市場経済のターゲットとされているわけですよね。そんな中で、企業が自社の成長を成し遂げていくには?「企業はもはや国際社会の要請のなかに自らを位置づけ、政策過程や、規範形成に能動的に関与することになしに、継続的な競走優位を築けない」「個別の企業の戦略ではとけない課題を日本企業は抱えている。解は外部環境にある」という金平さんの言葉が印象的でした。
加えて重要だと思ったのが、ここ30年の実際の経済成長のドライバーとなってきた、ホワイトカラーの知的生産、アイデアです。より複雑化していく世界全体の課題を解決していくにも、これまでとは違う解決策へのイノベーションです。
金平さんのような問題意識を持った人SOKETを通じて多くのイノベーションを生み、日本企業の眠れる資産を世界に向かって解放していくことで、日本企業も活力を得れるようになるといいな、と思いました。全体を通じても、国際社会、政治、民間企業の海外での競争力、非営利組織のマネジメント、など、スピーチで提供されたトピックは多彩でしたが、参加者それぞれの興味・問題意識に基づき、考えを深めることができたと思います。
当日のプレゼンの流れは、こちらでも確認することができます。
togetterまとめ
KBSの公式ホームページにも近々レポートが載りますので、そちらもぜひご覧ください。
(文責:下城(片山))