2010年09月03日

第5回「日本発・世界の課題に挑戦するNPO法人SOKET 〜志によるイノベーションのマネジメント〜」レポート

第5回「Management Impact」が開催されました

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8月30日(月)に第5回「Management Impact」が開催されました。今回はマッキンゼー&カンパニーに所属する傍らで、自らの問題意識から(NPO法人)SOKET(Society ×Market)を設立、9月より世界銀行でご活躍される金平直人氏をゲストにお招きし、「日本発・世界の課題に挑戦するNPO法人SOKET」〜志によるイノベーションのマネジメント〜」をテーマにディスカッションしました。

スピーチのトピックは大きく分けて3つありました。

一つめはこれまでの職業経験、大学院での実践的な学習から生まれた問題意識から設定された個人的な3つのテーマについて。二つめは、バングラデシュ現地の大手NGOと共同検討を行っている太陽光発電と電気自動車を潅漑に応用する「潅漑プロジェクト」について。三つめは、左記のようなプロジェクトを日本から次々と生み出していくための仕組みとして設立したNPO法人SOKETについてです。

スピーチ前の簡易アンケート結果によると、参加者の興味は、イノベーションについて、途上国ビジネス、NPOとバランスよく分散していました。ディスカッションでは、通常の営利企業とはかなり異なる要素でマネージされている、SOKETというNPOおよび潅漑プロジェクトの運営における競合やステークホルダーの捉え方についての論点や、政府や多様な立場のパートナーとの連携に基づく事業特有の問題、日本企業の今後の発展途上国での競争力についてなどを中心に行われました。

SOKETについては、ホームページにて知ることが出来るので、個人的な感想を少し。

業種にもよりますが、今後の世界と日本の人口動態を考えれば、海外に進出しないという選択肢は、自ら成長の可能性を捨てることになります。そして成長の可能性を実現させるための海外とは、BRICS, VISTA,NEXT11という言葉に代表されるように、新興国、発展途上国を指すことが多いです。でもNEXT11に入っているナイジェリアなんて人口の59%が年間所得水準500ドル以下、1000ドル以下を含めると90%の国です。経済が発展途上なのは、国の政治や開発が途上なのともほぼ道義で、それら国政や社会インフラといった外部環境が企業の戦略の自由度に大きく影響を与えます。でも多くの可能性を秘めているからこそ、市場経済のターゲットとされているわけですよね。そんな中で、企業が自社の成長を成し遂げていくには?「企業はもはや国際社会の要請のなかに自らを位置づけ、政策過程や、規範形成に能動的に関与することになしに、継続的な競走優位を築けない」「個別の企業の戦略ではとけない課題を日本企業は抱えている。解は外部環境にある」という金平さんの言葉が印象的でした。

加えて重要だと思ったのが、ここ30年の実際の経済成長のドライバーとなってきた、ホワイトカラーの知的生産、アイデアです。より複雑化していく世界全体の課題を解決していくにも、これまでとは違う解決策へのイノベーションです。

金平さんのような問題意識を持った人SOKETを通じて多くのイノベーションを生み、日本企業の眠れる資産を世界に向かって解放していくことで、日本企業も活力を得れるようになるといいな、と思いました。全体を通じても、国際社会、政治、民間企業の海外での競争力、非営利組織のマネジメント、など、スピーチで提供されたトピックは多彩でしたが、参加者それぞれの興味・問題意識に基づき、考えを深めることができたと思います。

当日のプレゼンの流れは、こちらでも確認することができます。
togetterまとめ

KBSの公式ホームページにも近々レポートが載りますので、そちらもぜひご覧ください。

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(文責:下城(片山))

2010年06月15日

第3回「国内MBAは日本を救えるか?」×奥村昭博教授のレポート

当日のディスカッションは、こちらにまとめられていますので、どうぞご参照ください。


「国内MBAは日本を救えるか?」 - 第3回 Management Impact
Togetterまとめ


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2010年06月13日

第2回「多様なリターン設計が拡げる金融市場 〜日本初マイクロファイナンスファンドの挑戦」レポート

5月27日に第2回のManagement Impactが開催されました。

今回は日本初のマイクロファイナンスファンドを企画している特定非営利活動法人LivinginPeace理事長の慎泰俊氏をゲストにお招きし、「多様なリターン設計が拡げる金融市場 〜日本初マイクロファイナンスファンドの挑戦」をテーマにディスカッションしました。

15歳からのファイナンス理論入門」の著者でもあり、実際に自分でファンドを企画している慎氏から、投資ファンドでの経験や知識を活かしたNPO活動や、そしてこれから転身するプライベート・エクイティを通じて実現したいこと、そして活動の根っこにあるご自身の原体験などを伺った後に、NPO活動としてのマイクロファイナンスファンドが誕生した経緯やその可能性、パートタイムNPOの運営の難しさと面白さなどを会場とディスカッションしました。

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多くの問題を解決し将来への希望にも繋がるからお金や利益は大切である、誰でもできるしくみこそが世の中を変えることが出来る、ないことを嘆くのではなく今あるもので最大限の結果を出すことを考える、といった慎氏の想いや行動力は、ビジネスを学ぶものとしては背筋が伸びる話であり、Management Impactの企画趣旨に見事に合致するものでした。事業を通じて社会にインパクトを出していきたいと静かな情熱を持って語る慎氏に、憧れたKBS生も少なくなかったようです。

その日の学びを、その場にいなかった人とも共有するために、当日の議論は、twitterで実況しました(ハッシュタグ #mgtipt)。そのまとめがこちらにありますので、ご覧いただくと実際の議論の流れがおわかりになると思います。KBSのオフィシャルサイトにもレポートが載っていますので、そちらも併せてお楽しみください!

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今回は、ハイレベルな金融用語が飛び交うディスカッションとなりましたが、マイクロファイナンスの細かなスキームやLIPの活動内容については、オフィシャルウェブサイトを見ていただけば分かるので、ここでは主観的な感想を少し。

慎氏はNPOの運営、マイクロファイナンスの活動だけでなく、児童養護施設の子どもたち向けの教育プロジェクトも展開しています。いわゆる“社会貢献活動”を非常に熱心にやっていらっしゃる方なのですが、その背景にある考え方を形成している、学生時代の経験がとても印象的でした。1つは、カルチャーを変えるためには、意思決定をする立場にいる人が変わらなくてはいけないと気づきにつながったカツアゲの話。もう1つは、正しいと信じることや人のための何かをすることは、必ずしも喜ばれるわけではない、だから見返りを求めてやるものではない、という気づきにつながった歯を折った話。どちらも社会貢献活動に携わる人の全てが分かっていることではないのですが(あくまで個人的な感覚です)、社会のしくみを変えるためには必須の考え方なので、こういう方こそが社会にインパクトに与えていくのであろうと感じました。

また、パートタイムNPOやマイクロファイナンスのスキーム作りの際の発想として、本質的な問題解決のためには、低コスト・オペレーションをいかに実現するかという点も重要だそうです。途上国のマイクロファイナンスは、現地調査に大きなコストがかかることからペイしやすい大規模なところに資金が偏っているそうで、その問題を解決する、つまり小さな規模のファイナンスを実現するために、調査コストの低減(究極的には現地の訪問調査なし)を実現しようと尽力なさっています。またフルタイムではなくパートタイム・スタッフでNPOを運営する点について、「誰でもできることだからこそインパクトに繋がるんだ」ということを語っていらっしゃり、スケールアウトの視点が最初から入っているのだなと感じられました。金融制度の不備をまずは解決すべきじゃないかという発言に対しても、「自分の考え方として、無いなら無いでその所与の状態で何が出来るかを考えるんですよね」と語ってもおり、ああ、この人は慈善家ではなく起業家なんだな、とつくづくと感じました。

なお、企画側として少し心配だったのは、慎氏の活動に対して批判的な意見が集中することでした。というのも、我々はビジネスセクターのマジョリティの関心を惹きつけられること、懐疑的な目をもつオーディエンスを意図的に混ぜることで客観的で建設的な議論を展開すること、を目的にセミナー企画を作っていまして、ゆえにオーディエンスは、ソーシャルな活動に最初から関心がある人ばかりではないからです。ディスカッションも経済合理性を前提にしています。そういった人たちに慎氏の活動がどう評価されるかということをやや懸念していたのですが、終わってみれば全くの杞憂でした。そして、この懸念を事前に伝えた我々に、慎氏が返した言葉は今でも私の頭に残っています。

「本当に素晴らしいものは、ビジネスの視点から見ても素晴らしいものであるはずだと思います。そして冷たい言葉を浴びせられても色あせないものが、本物の情熱だと考えています。」


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(文責:国保)


2010年04月30日

第1回:株式会社Kaien徐勝徹氏×「投資は世界を変えられるか?」レポート

4月17日(土)に第1回「Management Impact」が開催されました。

今回は株式会社Kaien共同創業者・取締役の徐勝徹氏をゲストにお招きし、「投資は世界を変えられるか? 〜 Impact Investment市場の発展可能性」をテーマにディスカッションしました。

徐勝徹氏ブログ:http://convisage.com/

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当日は、まずゲストにご自身のキャリアヒストリーと問題意識の変遷をプレゼンテーションしていただき、ゲストが提供した仮説に対してKBSやSDMの学生が意見をぶつけました。ディスカッションの土壌を揃えるために、ノンプロフィットの価値や課題は全てビジネス言語で表現しました。その結果、「The power of humanity」の力とそれを活かすしくみとしてのImpact Investment、多様なニーズへの対応と効率性の追求、ソーシャル・インパクトの評価とプレイヤーの淘汰メカニズム、コスト意識とインセンティブ設計など、幅広くバランスの取れた議論が展開されました。

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その日の学びを、その場にいなかった人とも共有するために、当日の議論は、twitterで実況しました(ハッシュタグ #mgtipt)。またそのエントリーを徐さんがtogetterでまとめてくださったので、そちらをご覧いただくと当日の議論の流れがおわかりになると思います。こちら

ところで、徐氏は静かな情熱を持ちつつ、穏やかにロジカルに話を進める方でした。その場にいた全員が徐氏の意見に迎合していたわけではないのですが、気がつくと話に引き込まれており、Cool Head,but Warm Heart というのはこういうことなのだなあと感じた次第です。また人の善意の可能性を信じつつも、人の弱さに目をそむけることもなく、利己性を前提としてインセンティブ・システムをきちんと設計するというスタンスは、個人的にはとても共感を覚えるものでした。

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ソーシャルに限らず、Doing Good系の話は批判がしづらいため意見が偏りやすく、結果として客観的な評価や建設的な批判に乏しくなり、本質を見つめた議論に至りにくいという傾向があります。ですが今回は、スピーカーも会場の学生も、自分と異なる意見を認めたうえで、それでもロジカルに批判すべきところは批判するという姿勢を一貫して持っており、大変社会人学生らしい議論が展開されたと感じました。

KBSのオフィシャルサイトにもレポートが載っていますので、そちらも併せてお楽しみください!

ところで今後のManagement Impactについて、皆さまにお知らせとお詫びを。本活動の詳細については、こちらの「About us」のところで常に最新情報を確認できるようにしてございますが、こちらでも簡単に。当初、このディスカッションセミナーはどなたでも参加可能であるということでご案内をしておりました。しかし前回第0回、そして今回の第1回を通じて、我々が当初想定していた以上の人数の方にご興味をお持ちいただいているということが分かり、方針を整理する必要が出てまいりました。

本来学びの機会というものは、広く社会に開かれているべきだと考えております。ただ我々の活動は「ディスカッション」セミナーというその特性から、人数の上限が決まってしまいます。経験上、この手のディスカッションを効果的に運営するためには、30人程度の規模が最も適切であろうと判断しており、よってむやみに参加者を増やすということは避けたいと考えています。また、本活動はKBSの学生有志が立ち上げたサークル活動であり、よってKBSの学生がディスカッションしやすい環境をつくることを最優先しています。

上記のことを鑑みた結果、大変心苦しくはあるのですが公募はせず、基本的にはKBSをはじめとする協生館の学生およびゲストスピーカーによるご招待者のみに参加を限定させて頂いております。まことに勝手ではございますが、どうぞご了承ください。

但し、学びは可能な限り広く共有したいと考えていますため、学外の皆さまも楽しめるようtwitterでの実況中継(ハッシュタグ #mgtipt)などを可能な限り実施していきます。また、開催後にはこのブログ上でディスカッションの内容をレポートしますので、外部の方にはこのような形でお楽しみいただけますと幸いです。申し訳ございません。会場などの調整によって皆さまにもご参加いただけるような企画となった場合には、ぜひぜひお越しいただきたく、本ブログ上でご案内いたします!

次回Management Impactは「多様なリターン設計が拡げる金融市場〜日本初マイクロファイナンスファンドの挑戦」で、5月27日(木)です!社会資本市場という大きな視点で捉えた第1回に続き、実際にファンドとして作りこむときにはどのようなことに配慮しなければならないのか、また投資家の多様化が進む中でどのような「効用」に配慮すれば金融市場が広がるか、などが議論出来ればと考えています。どうぞ奮ってご参加ください。

(文責:国保)


2010年04月03日

株式会社マザーハウス山崎副社長×「経済性と社会性を両立するマネジメント」

2010年3月8日、株式会社マザーハウス山崎大祐副社長を慶應ビジネススクール(KBS)にお招きし、「経済性と社会性を両立するマネジメント」というテーマでご講演いただきました。

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当日はKBSだけでなく、同じ建物内にあるシステムデザイン・マネジメント研究科(SDM)からも多くご参加いただきました。今回の講演会の目的は、「経済性と社会性を両立させる経営とはどんなものか?」を知ることでした。マザーハウス社は自分たちを「ソーシャルビジネスだ」とは位置付けていないけれど、第三者視点で見てもその社会性は顕著です。しかも高品質のバッグという経済性も達成している。これは、本来ならば全ての企業のあるべき姿である一方で、その実現は大変難しく、多くの経営者が悩みながら実現しているところ。それを具体的にどうやってやっているのか、現場で実際の経営にあたっている人のリアルな話を伺いました。また、多くのソーシャル色の強いビジネスを扱った記事や事例紹介は、ミッションにばかりフォーカスがあたっていたり、賞賛ムードが強すぎて、経営主体としての本質を知るまでに至らないことが少なくありません。そこで本企画ではスピーカーのご理解のもと、クリティカル・シンキングを行うことを目的に、社会性があることは前提としてそれをどう事業性に結びつけているのか?というところを中心に話していただきました。

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実際にお話を伺うと、非常にビジョナリーな経営を指向しつつも、社会性とストーリー性が経営上のバイアスとならないよう明快な客観的数値指標を持っていたり、若くて意識の高いスタッフがたくさんいると同時に「定年退職されると困る」ような高齢スタッフを抱えていたり、等々の工夫が豊富にあり、大変勉強になりました。

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後日参加者の感想を伺ったところ、ソーシャルビジネスへの興味はなくても、普通にビジネスを営んでいる人として学べるところが非常に多かったという声が集まりました。私としても、マザーハウス社はソーシャル云々以上に、ビジネスの本質をきちんとやっている企業だという印象を受け、イノベーションにつながるヒントをたくさんいただきました。また、経営者というのはやり方次第で人を幸せにも不幸せにもできると私は考えているのですが、同社は前者の好例だなと感じます。KBSの公式ホームページにもレポートが載っておりますので、ぜひご覧ください。

そしてこの講演会をきっかけにして、KBS有志でこの「Management Impact」を立ち上げました。なので(後付けですが)この回を我々の中では「第0回」と位置付け、今後定期的に開催していきたいと考えております。開催のご案内をご希望の方は、info-mgntimpact@googlegroups.comまでお問い合わせください。


(文責:国保)
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